TOP2010年04月

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プロバイオティクスによるアトピー性皮膚炎の初期予防(3)

原著は Ji G.E.: Probiotics in primary prevention of atopic dermatitis : Forum of nutrition 2009; vol.61, pp117-128 で、主として2000年以降に発表された、プロバイオティクスによるアトピー性皮膚炎の初期予防に関連する約40編あまりの英文医学論文のレビュー(総説)記事である。全体が2部構成になっていて、前半がヒトでの治験データを収集し、後半が細胞分析手技(in vitro)と動物実験のデーターを収集している。今回はビフィズス菌、アシドフィルス菌等をヒトに使用してアトピー性皮膚炎を予防、あるいは治療する根拠となる Probioticsの免疫調節メカニズムについて、後半の細胞マーカー分析手技と動物実験のデーターに関するレビューから概説する。

腸管のリンパ系組織には、免疫反応の入り口としてはパイエル板と個々のリンパ濾胞が、免疫応答の出口としては粘膜固有層が挙げられる。これらの免疫組織にはB細胞、T細胞、樹状細胞、マクロファージが含まれている。樹状細胞とレギュラーT細胞は、粘膜組織のみならず全身性の免疫反応に置いても、脱感作・体制確立についての決定的な役割を担っていると考えられている。腸管上皮細胞、リンパ系細胞、樹状細胞はバクテリアの菌体やその一部分であるペプチドグリカン、リポ蛋白、リポ多糖類などを、TLR(toll-like receptor)を含むパターンレセプターシステムを駆使して常時監視・認識すると共に、それらと相互に影響を及ぼし合い、先天的および後天的な免疫応答を調節している。
腸管の粘膜層ではプロバイオティクス(善玉菌)と、その一部分であるペプチドグリカン、リポ蛋白、リポ多糖類、菌体の分泌物、細胞壁の一部などが腸管上皮細胞、パイエル板中のM細胞、その下流に位置する樹状細胞およびマクロファージとと相互に連繋を持つことが報告されている。善玉プロバイオティ久菌と腸管上皮細胞の相互連繋は腸管のバリア機能を一層強化すると共に、サイトカインや信号科学物質の放出を含む粘膜免疫細胞の直接的な調節に関与している。(この解説は下図に集約されている)

パイエル板の免疫2s

乳酸桿菌ペントサス株の経口投与では、IL-12産生の活性化によりIFN-γ分泌細胞が誘導される等の知見がある。その一方で、細胞分析系(in vitro)の研究については、先に結論を書いてしまうと、これらの系でのプロバイオティクス善玉菌と樹状細胞間の相互作用は、菌株の種類とTLK細胞、樹状細胞の系統の違いによりマチマチである。この相互作用が極めて重要で決定的な役割を演じているとしても、他種類の菌株が、無数ともいえる複雑な経路を通して免疫系に影響を及ぼしていることが知られており、細胞マーカー分析によるin itroの実験結果が 実際の生体内でのin vivoの観察結果と矛盾することも少なくない。プロバイオティクスの菌株種類、投与量、投与のタイミングと投与経路などによる免疫調節作用の差を理解するためには、より精巧で進歩的なin vitroの実験モデルが開発されることが待たれる。

動物実験においては、さまざまな実験モデルがプロバイオティクスによるアトピー性皮膚炎の抑制メカニズム解明に用いられてきた。動物実験系は細胞分析系(in vitro)の研究よりも有用性が高いと思われる。動物実験系でもプロバイオティクスの投与はTh1細胞のTh2細胞に対する優位性を強化し、レギュラーT細胞の働きを高める結果が得られている。

オボアルブミン(卵白の抗原物質)で経口感作された実験動物に対して、プロバイオティクスを経口投与したときの効果がいくつかの実験で調べられている。これらの実験では、プロバイオティクスの経口投与で、血清中では抗原特異的なIgEとIgG1の産生が抑制され、糞便中では抗原特異的なIgAの分泌が抑制された。さらに、脾臓でのIL-4産生が抑制され、INF-γとIL-10の産生が増強され、皮膚や粘膜に見られたアレルギー性炎症の改善が観察された。

生きたビフィズス菌の使用は、破壊された菌体や熱処理された死菌よりもアレルギー症状を抑制する効果が高い。プロバイオティクスの抗アレルギー効果は、炎症反応抑制の局所的効果から全身的効果にかけて、また炎症反応の最初の部分から引き続く増悪部分にかけて広範囲に出現すると思われる。IL-4の抑制はTh1細胞の強化につながり、IL-10の分泌増強は、レギュラーT細胞による経口的耐性獲得に貢献しているように思われる。さらに、ビフィズス菌による特異的なIgE抑制効果はレギュラーT細胞のIFN-γ産生によって中継されている事を示唆するデータがある。

動物実感系の結果にはまだ結論はないが、ほとんどの報告はプロバイオティクスの使用がアレルギー症状を緩和することを主張している。今までの報告を総括すれば、ヒトの治験においても動物実験においても、局所的・全身的の両方において、プロバイオティクスの経口摂取はアレルギー反応を緩和する方向に作用することが強調され、ヒトにおいてアレルギー発病の予防にプロバイオティクスが利用されることの正当性を証明しているように感じられる。







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